ドキドキする方へ

こんにちは。セラピスト村田です。今回のテーマは、「10年前の私」。

十数年前にフランスの写真学校に留学して、撮影することに加えて展覧会などをオーガナイズする方面に興味を持った私は、帰国後2年ほど知り合いの立ち上げたギャラリーの手伝いをさせてもらいました。写真に関するセミナーやワークショップの運営などにも携わり、いろいろな写真家や受講生の皆さんと知り合うことが出来、楽しかったです。

その後、縁あって2ヶ月ほど東京都の写真美術館の図書室でアルバイトをする機会に恵まれました。国内外の最新の写真集・雑誌から貴重本(例えば、シュールレアリスムの「ミノタウロス」など!)まで、豊富な蔵書に囲まれ、贅沢な時間を過ごしました。

そして1997年の年末、四谷三丁目にあったMole(モール)というギャラリーに確か「ロバート・フランク展」を観に行った時、写真図書館を立ち上げるという話を耳にして、心が躍りました。FROGというインディペンデントギャラリーを前身とし、出版社でありギャラリーであり書店でもあるモール。写真をやる者の憧れの場所。「ドキドキした方に行く」というのが今も昔もずっと私の行動の基本ですので、即「参加したい」と代表の津田さんに申し出、1998年の1月からモールの図書館スタッフとして働き始めました。

モールの2件先にあるビルの2階には、写真集が入ったダンボールがかなり広めのフロアいっぱいに並べて置かれていて、初めてその光景を見た時にはその量の多さにちょっとクラクラしました。ある方の膨大なコレクションを基にして、いろいろな方から寄贈・寄託された本たち。代表的な写真家の写真集をはじめ、一般の書店ではお目にかかれないようなレアなものから、インディペンデントギャラリーの資料、写真展の案内状まで、写真ファン垂涎の内容でした。

まずは同年6月1日・写真の日のオープンを目指して、これらの資料を一から整理・分類・入力して蔵書リストを作り上げるというのが私たちスタッフ4人の仕事でした。
ほこりを払い、本の種類ごとに場所を分けて置き、写真集は作家名順に並べ、…いくつかの作業を経て、やっと実際に入力できる状態になります。効率的な作業手順を工夫したり、「どう分類すべきか?」ということを考えたり、試行錯誤しながら毎日作業を続けました。いよいよ棚が出来て、平置きしていた本をそこに収納して、やっと図書館らしくなってきた時。未整理の資料以外の入力が完了し、蔵書リストを印刷して、スタッフや知人総出でページ組み・製本をしたオープン前夜。たくさんの人が集まってくれたオープニングパーティー。今振り返ると、「熱い」季節だったなーとしみじみ思います。

約3年間の開館の間、たくさんの方に利用していただいた写真図書館でしたが、諸々の事情から北海道へ場所を移すことになりました。同じ頃、私自身も父の不幸を機にしばらく静岡に戻ることになり、写真や本や人がクロスオーバーする夢のような場所での時間は一旦幕を閉じました。

しかし、試行錯誤しながら一つの場所を形にしていった経験や、写真図書館の蔵書にあった様々な写真集を手にとって見れたことは、確実にその後の糧になっている気がします。1998年には、9月に初めての個展も鎌倉で開催しました。その後2006年までに数回の個展を開催、最後からちょっと時間があいてしまっていますが、相変わらず写真家的意識を持って携帯カメラでのスナップを続けています。

そして、それからの10年という時間は短いような長いような…いろいろな「ドキドキ」に導かれて、現在はヌワボーランセラピストの私です。

2008-04-06 | Posted in 未分類No Comments » 

関連記事

Comment





Comment